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  霰打つ 安良礼松原 住𠮷の 弟日娘子と 見れど飽かぬかも 巻1-65

 この歌は、文武天皇の難波行幸の折り、志貴皇子の詠った

  葦辺行く 鴨の羽がひに 霜降りて 寒き夕は 大和し思ほゆ 巻1-64

 に和して詠った長皇子の羇旅歌です。

 人は生まれた土地にいる間は土地の神(産土神)に守られていますが、一旦他国に出ると異郷の神(他し神)からいろんな危害を加えられると信じられていました。このため、旅に出ると故郷の神を想い敬うと同時に、旅先の物を褒め称えることによって、異郷の神の加護を受けていました。

 志貴皇子の歌が故郷を想い、長皇子の歌が旅先の物を褒めています。この2首を合わせてこの時の行幸の安全を願っています。

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 安良礼松原は大阪湾に面した海岸線を想像していましたが、それは江戸時代までの話。今では遥か沖合まで埋め立てられ住宅や工場地となっていて、市街地の真中になっています。

 南海本線の難波駅から10分。住ノ江駅で降りて東へ向かいますとすぐ左に安立小学校があり、その先を学校に沿って左に折れるとすぐ先右手に小さな公園があります。その東隅に霰松原神社の小さな社があり、万葉歌碑はその前、道路に面したところにあります。前の道は紀州街道。海岸沿いの道だったそうですが、その面影はなく、側に建てられている案内板が無ければ分からないでしょう。

 立派な歌碑は、(財)住𠮷名勝保存会により昭和55年6月に建てられた。揮毫者は西本泰住吉大社宮司。
 1駅戻った住吉公園には1首、住吉大社境内には17首の万葉歌を刻んだモニュメントがあります。
   
所在地  大阪市住之江区安立
アクセス 南海本線住ノ江駅、阪堺電軌安立町駅から 徒歩5分